これから始まるたった一人での長い旅に僕の心は期待と不安でいっぱいだ
朝陽を浴びた新緑がとても綺麗だ
いや「綺麗」と言う言葉でかたずけてしまうのはあまりにも単純すぎると思うのだが
本当にただ「綺麗」なのだ
今回新しいデジカメと言う事でほとんどオートで撮ったのだが
木々の緑色が明るく写りすぎて薄い緑にしか写っていなかった。
後でいろいろいじくってみたらシャッタースピードを速めに設定してやれば濃く写る事がわかったのだが
このブログを書いている今頃わかっても後の祭りと言うものだ
大峰山と言えば修行。大普賢岳の中でもここ笙ノ窟は規模が大きく
修験道の開祖役行者が籠もって修行をした場所であり不動明王が祀られている。
しばらくすると日本岳のコルに到着
ここから尾根沿いを登って行く
本当にすばらしい景色なのだが写真で伝わらないのが残念だ!
この辺りからこのような鉄梯子が増えてくる、危険だ!
って言うか鉄梯子だらけなんですけど~( ゚д゚)
石の鼻に到着、僕はここでとんでもない失態をしでかしてしまった
ブログを書くのに欠く事のできないデジカメを岩の上に落としてしまったのだ
幸いカメラは無事だったのだが不注意には気を付けねばならないと言う自分への警告だと受け止めておこう
ここは山だ。カメラなら落として壊れてもまた買えばいい
だが自分が落ちてしまうなんて事だけは絶対に避けなければならない 絶対にだ
今までの人生で一度もカメラを落とすなんて事した事なかった僕が
現に今こうしてカメラを落としてしまっているのだ
今日山から落ちないという保証はどこにも無い
こうして改めて山に対する厳しい姿勢を再確認させてくれたこの出来事に
僕は後で幾度も感謝することになる
なにはともあれすばらしい眺めだ。
願わくばいつまでもこの景色に見とれていたい
心からそう想う
だがここでのんびりしているわけにはいかないのだ
僕は石の鼻を後にした
せっかく登ったのにまた下り、そしてまた登って小普賢岳
そして再び下ってはまた登る なんて楽しい山なんだ!
登山を始めて半年の僕は少しながら脚力もついてきたのか
これくらいの登り下りは楽しめるようになっている
そう この時までは・・・
時々雲が出るもののほぼピーカンの快晴だ
この後も鉄梯子を何回も登り大普賢岳山頂に到着
コースタイムは目標にしていた2時間と予定通り
燃料補給&軽量化
普段僕は家で缶ビールを飲むと最後に少し残ってしまう
だがここでは一気に飲み干した
いやはや環境が変わるとこうも違うのかと自分でも驚いてしまう
今日の缶ビールは格別だ(^_^)
登山を始めてすぐに登った
稲村ヶ岳が見える
以前なら山を見てその名前を言えるなんて思ってもみなかったが
こうして山の名前を言えている なんとも嬉しいじゃないか
ここで稲村ヶ岳の山頂には展望台があったことを思い出した
このカメラの望遠と手ブレ制御の性能を試してみよう
めっちゃ見えるr(-◎ω◎-) いまのデジカメどんだけ~ヽ(TдT)ノ
こちらも以前登った近畿最高峰の
弥山八経ヶ岳 あの時は極寒だった(>_<)
30分ほど山頂の眺望を楽しんだ後南へ進む
すこし下るとすぐに水太覗
大絶景ビューポイント 大台ケ原方面
ここからブナの原生林を抜け弥勒岳、国見岳を越え次の目的地七曜岳を目指す
鎖場を越え
こんな崖を激下り(薩摩転げ) 本当に転げてしまっては命は無い
やっとの思いで稚児泊(ちごどまり)に到着 テントが張れそうなスペースがある
ここで昼食をとり体力回復
そして僕はある事に気付いた
今日は夏日で道中よく水分をとっている
心配性な僕は普段から「これ多くないか?」と思うくらい水、お茶、スポーツドリンクを持って登るのだが
今日はもう半分近く飲んでしまっているのだ( ゚д゚)
無いものは仕方ない 水はこの先に川があるはずだから
もしもの時はそこで汲むとしよう
後ろを振り返ると大普賢岳-小普賢岳-日本岳を眺めることが出来る
急登を終えると七曜岳山頂到着
今日はいったい何回登って下ったのかもう訳がわからなくなってきた
ここまで3時間ちょうどだが結構疲れてきている
つい先ほど、調子に乗って脚力がついてきたなどと自信過剰なことを言っておきながらなんだこのザマはΣ(×_×;)!
疲れたと言おうもののこの辺りはちょうどコースのど真ん中
進もうが引き返そうがどちらを選んだにせよ3時間コースだ
もちろん進むに決まっている
七曜岳からはまた激下りが始まるのだが途中で地図があった
右下の和佐又から反時計回りに進んでいるのでまさに今ちょうどど真ん中
激下り&滑りやすい地面が続きもはや僕の足は限界へのカウントダウンを開始していた
しかしそれとは関係なく山の木々はなんて綺麗なんだ
今僕の足を動かしている原動力はこの美しい自然の中にいるという現実だろう
無双洞を過ぎて水簾の滝
ここで少し道に迷うことになった 元々道迷い注意地点なので気をつけていたのだが
本来左に沢を渡るべきところなのだが右側にも赤テープがあったのだ
いやこれは間違うだろ!
地図とコンパスで調べるも1/25000「山と高原地図」では詳細がわからず苦労した
しかも出発前にヒュッテでGWにこの辺りで熊を目撃したという情報が貼ってあった
今僕が地図を見ているのは偶然にも洞窟の前である
もういつ熊が出てきてもおかしくないシチュエーションだ
恐怖で足が震えた
あ!足が震えているのは下りで足がプルプルしてるだけか(・ω・)ノ
下り終えた場所でパンを食べ燃料補給、今日はビールが二度も美味しい
ビール飲んだら後で逆に喉が渇くだろうし、水が足りないかもしれない心配もある
だがこの時の僕は飲まずにいられなかった
なぜならこの写真を見て欲しい
見事なまでのVの字斜面だ
今右側から下って来たのに今度は左側へ登れというのだ( ゚д゚)
これが飲まずにやってられるか(*・ε・*)
この崖を登れってか? 限界に達している足で
しかも僕は今飲酒運転だぞ
と崖に叫んだところでエレベーターが現れる訳ではない
凄い崖をお伝えしたいのだが残念ながらこの写真だとたいして凄くない
先に言わせていただきますが気力だけで登ってますのでここから先写真少ないです
この上からの写真だと伝わるだろうか
飲酒運転なうえ足プルプルなのだが今日は朝カメラを落としていることがあって
集中力だけは欠かさないように気を付けて登っている
もし朝カメラを落としていなければ僕は軽い気持でこの崖を登っていたことであろう
カメラを落とした事はこんなところで役に立っているのだ
そしてなんとか登りきった所に「底無し井戸」
だがこの時の僕にはもはや井戸なんて底が有ろうが無かろうがやまったく興味なしだ
正直に言おう
今僕は山を楽しめていない(*・ε・*)
ただ早く和佐又に戻りたいのだ
そして永遠にも思えた激登りを終え
現れた標識に目をやるとそこには
「和佐又ヒュッテまであと1時間」の文字
足は限界、残す望みは気力だけのこの僕にとってこの「1時間」は
地獄なのか、はたまたのんびりした緩斜面なのか
僕の心は縄文式ドキドキだ
結局この後の1時間はさほどキツイ登りではなく
だからと言って緩くもない道程であった
僕は幾度となく休憩を繰り返し足をマッサージし
なんとか無事に和佐又ヒュッテに戻ってこれたのであった
おじさんが満面の笑顔で僕を迎えてくれた
僕の大普賢岳登山はこのおじさんに始まりこのおじさんで幕を閉じた
食事や休憩の1時間を含めてちょうど7時間
距離は普段の登山とさほど変らないと思うが
激登り激下りを何回も繰り返すこのコース
なんて過酷だったんだ
そしてすべてを終えた今、僕は気が付いたのだ
そうここは大峰山脈
僕は修行をしていたのだ
テントを張ってしばらく動くこともできず
このすばらしい景色に心を奪われていた
今回は岩湧山以外では初のソロ登山で、予想以上のアップダウンに足がもたず
たびたび弱音を吐いた登山でしたが
何が一番疲れたって
劇画タッチなこの文章~ヽ(TдT)ノ
珍しくキャンプ編に続くのである・・・
あなたにおススメの記事